会長からのご挨拶

池田先生
加賀脳卒中地域連携協議会会長
金沢脳神経外科病院
池田 清延
 来年度には利用開始から10年目を迎える加賀脳卒中地域連携パスもしっかり地域医療機関に定着し、急性期-回復期医療施設間だけの連携ツールだったものが、今や回復期から生活期への連携ツールとして役立ってきています。今やこれを支えているのは生活期医療機関・介護施設職員を中心に盛んに行われてきているコラボ研修会といっても過言ではありません。
今年度を振り返ってみるに、大きな問題となったのは脳卒中画像伝送システムの不具合の発生です。多くの施設にご迷惑をおかけしましたことをこの紙面をお借りしてお詫び申し上げます。モバイル運用促進委員会では何回かの画像システム検討会を開催してネットワークシステムを再検討して参りました。その結果、これまでの電子カルテから伝送用端末への直接接続して画像を送るという手段を避けるとともに、システムもNadiaから新たにJoinへと置き換えることとしました。これからも引き続き脳血栓除去チーム派遣に代表される石川県救急医療体制の充実と強化をさらに役立ててゆきたいと考えています。
パスの情報伝達の簡便さと迅速化を図るため、急性期の小松市民病院から回復期のやわたメディカルセンター間で試験的に行われてきた、いしかわ診療情報共有ネットワーク(ID-Link)を利用したパス情報のやり取りを、今年度3月より14の施設に拡大して使用開始しました。これにより回復期施設では転院前の家族面談や、転院直前に患者データが得られることで受け入れ準備が非常に円滑となる大きなメリットが得られると考えられます。
また回復期病院を退院する際の患者さん自身の脳卒中治療に関するデータを整理し、生活期医療および介護施設を受診する際に役立てていただこうと作成された脳卒中予防ファイルもいくつかの回復期病院で配布使用されてきています。
平成30年度診療報酬改定では地域連携パス加算(地域連携診療計画加算)の算定対象が退院支援加算Iを届けている急性期施設に限られていたものが、入退院支援加算2を届け出ている医療機関にも拡大され、加算請求しやすくなりました。地域連携パスの必要性が認められてきている証拠と考えています。
最後に、パス使用もこれまでに4200件以上を超えました。データベース化してありますので、これらのデータをもとに学会や論文発表などにご利用いただけましたなら協議会としては幸甚に存じます。